心理学と臨床心理学

心理学と臨床心理学

臨床心理学を専門にする臨床心理士とは一体何者なのか?

2021/11/16

はじめに

どうも、Ig Knowledge(イグナレッジ)のYamashunです。
私Yamashunは、臨床心理士・公認心理師資格の有資格者として日々働いているわけなのですが、、、
『臨床心理学って何?? 臨床心理士は心理学の専門家ではないの?』と聞かれることが多いので、今回は「臨床心理学」について、記事としてみました❗️
今回のテーマは「心理学と臨床心理学」についてです💡

心理学と臨床心理学は違う?

答え:臨床心理学は心理学のひとつの分野です📗
実は「心理学」は「基礎心理学(きそしんりがく)」と「応用心理学(おうようしんりがく)」と大きく2つに分類することができます。
細かいことを説明すると、「臨床心理学」とは、この2つのうち「応用心理学」のなかのひとつです。
つまり、心理学 > 応用心理学 > 臨床心理学 というわけです。

基礎心理学

基礎心理学 = 心の仕組みに関する一般的な法則を理論的に解明する学問
基礎心理学はその名前の通り、誰しもの心に共通する法則を理論的に説明できるように解明していく領域となっています。
観察・実験・調査などの手法を用いて、心に関する一般的な法則を探し求めます。
以下の種類が基礎心理学の代表的なものになります。
  • 生理心理学(神経心理学)
  • 認知心理学(知覚心理学)
  • 発達心理学
  • 学習心理学
  • 社会心理学
  • 人格心理学(パーソナリティ心理学)
  • 異常心理学
  • 計量心理学
  • 比較心理学

応用心理学

応用心理学 = 基礎心理学の知見を実際の問題に応用した心理学
応用心理学は、基礎心理学によって得られた心の一般的な法則(理論)を基にして、実際に起きている個別の問題に対する解決方法や改善策を見出していく領域となっています。
特定の場面での人間の心が重視されている心理学だと考えて差し支えありません。
応用心理学には以下のような種類があります。
  • 臨床心理学
  • 教育心理学
  • 産業心理学
  • 犯罪心理学
  • スポーツ心理学
  • 家族心理学
  • 学校心理学
実はカウンセラーと呼ばれるお仕事に関連する多くの資格職が、この応用心理学を学問的な根拠にしています。

カウンセラーになるために必要な資格と資格の種類について解説カウンセラーになるために必要な資格と資格の種類について解説しかし、世の中にはカウンセラーの資格が複数存在するため、目指すべき資格を悩む方も多いことでしょう。いざ目指す資格を決めてから、後悔はしたくないですよね。 この記事ではこのような疑問について説明していきます。 記事のまとめ 『心理カウンセラー』になるために、 資格の取得は必須条件ではない ですが、一定水準の専門的教育を受けており、 専門知識・技術を取得していることを保証する証明 となります。 結論からいうと、『心理カウンセラー』になるために、 必須の資格はありません 。 資格の有無や種類 にかかわらず『心理カウンセラー』になることは可能なのです。 資格には、国の法律に基づいて審査基準を設定している 国家資格と、民間団体や個人が独自の審査基準を設定している 民間資格 があります。 さらに国家資格は、「その資格がなければその業務を行なってはいけない」 業務独占資格と「その資格がなければその名前を名乗ってはいけない」 名称独占資格 にわけられます。 国家資格(業務独占資格・名称独占資格)がないのにその業務を行うことや、その名前を名乗ることは法律上の違反となります。 業務独占資格 名称独占資格 医師、歯科医師、薬剤師、看護師 など 公認心理師、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士 など 2017年から「公認心理師法」が施行され、心理職の国家資格である 公認心理師 が誕生しましたが、 公認心理師は名称独占資格 となっています。 つまり、公認心理師の資格をもっていない人は「心理師」と名乗ることはできませんが、「心理カウンセラー」と名乗ることや「カウンセリング(心理的な支援)」の業務は、法律上では資格の有無に関係なく可能なのです。 資格の取得に意味がないというわけではありません。 また、それぞれの資格を認定している団体に所属することで 情報共有や 研修の参加 が円滑にでき、就職にも有利に働くようになります。 (特定の資格をもっていることを研修参加や就職の条件としていることも多いです。) これから『心理カウンセラー』を目指す方は、それぞれの資格の 専門性や 取得までの道のり を理解し、ご自分のニーズにあう『心理カウンセラー』の資格を見つけられるといいでしょう。 ポイント 資格取得は必須ではないが、一定水準の専門知識・技術を習得した証明していることの証明となり、情報共有・研修参加・就職活動に有利に働く 代表的な心理学関連の資格について、以下の順番で簡単に説明していきます。 国家資格 大学・大学院・高等教育機関が関わる民間資格 「2」以外の日本学術会議に属する心理学関連学会が認定する民間資格 民間法人・団体認定の民間資格 出典: Wikipediaー日本の心理学に関する資格一覧 公認心理師 先ほど説明したように、名称独占資格であるため、資格保有者以外は 『心理師』 と名乗ることはできません。資格更新の必要はないですが、研鑽を続けることが努力義務とされています。 資格取得までの道のり 6年間 の養成期間(①公認心理師養成のためのカリキュラムがある4年制大学卒業+心理系大学院修士過程2年、あるいは、②定められた施設での2年以上の実務経験)を経て、その後に公認心理師試験に合格することが必要となります。 ✳︎記事執筆現在(2020年12月)は経過措置期間中であり、必ずしも上記条件に当てはまるとは限りません。 公認心理師について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。 公認心理師 |厚生労働省 一般財団法人 日本心理研修センター 公認心理師試験 ポイント 公認心理師 心理職の国家資格(名称独占資格) 公認心理師養成カリキュラムのある4年生大学卒業し、①心理系大学院修士課程2年修了、あるいは②定められた施設での2年以上の実務経験を経て、国家試験(公認心理師試験)に合格することが取得できる すべての領域での活躍が期待されるが、医療機関で働くためには今後必要となってくる 日本学術会議から「日本学術会議協力学術研究団体」として指定を受けている学会が認定する資格のなかで、大学・大学院や公的機関が養成や任用に関わっている資格をさします。 臨床心理士 公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格で、 『臨床心理学』 に関する専門的知識・技術をもって援助( 臨床心理面接/心理療法 )を行います。 日本臨床心理士資格認定協会のサイトでは以下のように紹介されています。 ... igknowledge-psycho.com

基礎心理学と応用心理学は循環している

皆さんのイメージする「心理学」とは、基礎心理学よりも応用心理学に近いかもしれません。
ですが、「心理学」に興味を持って大学に入学した方が最初に出会うのは、ほとんどの場合が「基礎心理学」です。
多くのかたが「思っていたのと違う」となるのですが、応用心理学は基礎心理学に基づいて発展しているため、非常に重要なんですよね。
例えば、Yamashunは実際に「発達心理学」「認知心理学」「生理(神経)心理学」などの基礎心理学で得られた知識を活用しつつ、日々の臨床活動を行っています。
また、応用心理学で得られた知見から、基礎心理学の理論が発展していくこともあります。
このように基礎心理学と応用心理学は循環していくわけです。

臨床心理学・臨床心理士とは何か?

さて、ようやく本題。
ここまで説明してきたように、臨床心理学は特定の場面における人間の心を解明する「応用心理学」のなかの学問領域のひとつです。

臨床心理学

臨床心理学の想定する特定場面とは、心理的な問題(精神疾患から健康まで幅広く)や不適応行動です。

臨床心理学とは、心理的な問題や不適応行動の解決・改善・予防を支援する【実践活動】と、その【実践活動の有効性】を解明する学問領域となります。

大切なのは、臨床心理学は心理的な問題を抱えて困っている方のみでなく、いわゆる健康な方々もその興味・関心の対象に据えているという部分です。

また、理論のみでなく、実践活動に関する技術も含まれていることも大きなといえますね。

臨床心理士

臨床心理士 = 臨床心理学を専門として人の心を解明しようとする専門家
もう少し正確に述べると、
「臨床心理士」とは、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の“こころ”の問題にアプローチする“心の専門家”です。 出典:臨床心理士とは|公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会
となります。
具体的には、
日本臨床心理士資格認定協会の認定をうけている心理専門職 出典:臨床心理士について|一般財団法人 日本臨床心理士会
と資格を取得していることも必須条件となりますね。

以上をまとめると、臨床心理士は、臨床心理学(心理的な問題や不適応行動の解決・改善・予防を支援する【実践活動】と、その【実践活動の有効性】を解明する学問)の一定水準の知識を有していると認められ、それに基づいて心の問題にアプローチしていく職種といえます。
この実践活動がさまざまな流派にわかれているため、一言に臨床心理学を修めているといっても専門性は個人によって異なってくるというわけです。

臨床心理士とはいったい何者なのか?

これまで臨床心理学や臨床心理士について説明してきましたが、応用心理学のひとつである臨床心理学を修めるためには、基礎心理学(一般的な心理学)全般の知識が必要となります。
加えて、資格取得後に実際に働く現場によってさまざまな応用心理学の知識も必要となります。
以上を踏まえて「臨床心理士とはいったい何者なのか?」という問いかけに回答するのであれば、
臨床心理士 = 臨床心理学が専門であり、加えて、基礎心理学や応用心理学など広く心理学の知識・技術を有しているが、基礎心理学やその他の応用心理学個人の裁量によって異なる専門家
ともいえますね。
そして、臨床心理士という資格を通して、臨床心理学の専門性を担保するために、職業的な倫理規範に身を置いています。
決して、人の心を読める人ではありません❗️ので悪しからず

最後に

心理学に関連する資格は多種多様であり、「〇〇カウンセラー」という名称も乱立しています。
臨床心理士であったとしても、資格が認定される水準の【基礎・応用心理学の知識】や【臨床心理学の知識・技術】を身につけてはいますが、細かい部分では個々人によってばらつきがあります。
資格名のみに左右されずに、個々人の経歴や専門性に注目してみると、良き出会いとなるかもしれませんね。


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